思考中

ライターです。ドラマと音楽が好きです。もうすぐ24歳

『重版出来!』を観て、愛のある仕事がしたいと思った

ちかごろの話ですが、「もっと丁寧な仕事がしたいな」と思いまして、あることを始めました。

それは、「記事掲載後に、取材先にお礼の手書きハガキを送る」。

 

今まで、基本的にメールでお礼を済ましていたんですが、手書きに変えました。

手書き神話を信じているというのもあるのですが、おそらくもらった方も「取材受けてよかった」と後味をよくしてくれるのかなと思います。非効率だけど、それがまた良し。

 

だから、◯曜日のこの時間はハガキを書く時間、というふうにして、何通もの手紙執筆に勤しむようにしています。

字が綺麗ではないし、めっちゃめんどくさがりなので避けていたんですが、なんか書いた後自己満足心で胸元がほっこり温かくなっているので、いいもんだなと思っています。

 

 

目に見えない仕事の大切さを知った『重版出来!

かなりめんどくさがり屋なわたしが、どうしてこんなことを始めたのかというと、今ハマっているドラマ『重版出来!』の影響です。

 

主演の黒木華さん演じる黒澤心は、マンガ雑誌の新米編集者。

新卒入社、活きのいい柔道経験者。黒い感情が1ミリもなく、ひたすら素直でストレート。瞳には一点の曇りもありません。

周囲のベテランは立派に漫画作品を編集している中、彼女は作品ですらない読者アンケートページを担当することになり(話)、先輩から「張り切るほどのページじゃないよ」と言われても「読者の意見が反映されるので大切な仕事です!」と言い切る。どんな些細な仕事にもやりがいを感じる、本当に素晴らしいできた人間です。

 

一方、入社年目の営業マン・小泉純(演じているのは坂口健太郎さん、こりゃまたうまい)は、とにかく目が死んでいる。声も小さく猫背で、営業先の書店では「幽霊くん」なんて言われている。

本当は情報誌の編集をしたくて入社したのに営業部に配属され、「僕の仕事はこれじゃない」とお役所のような仕事っぷりを発揮。言われたからやる、のスタンス。やる気のなさが外見に表れています。

じゃあお前は情報誌で何を伝えたいんだ、と営業部長に聞かれても「そんなこと、突然、きかれても。。。」としどろもどろ。彼の内心は「おれは営業なんてちまちましたことじゃなくて、もっとおおきな仕事がしがいんだ!」というところ?

そもそも営業って、必要不可欠な仕事です。どれだけ良い作品があっても、売る人がいなければ誰にも届かない。工夫と行動次第で売り上げが左右される仕事ですよ、編集部ばりにクリエイティブなはずです。

この本質に彼は気づいていなくて、「たくさんの人に読んでもらう」ことではなく「書店で仕入れ担当者に頭を下げる」ことが仕事になっている。

 

そんな小泉くんは、営業部に勉強しにきた心と、教育係として一緒に行動することになり、彼女から刺激を受けて、カメレオンのように変化していきます。

「鉄道が出てくるマンガなので、コミックコーナーだけじゃなくて鉄道雑誌のエリアにもおいてください!」と、思いついたことは即行動に移す心。小さな仕事ひとつひとつを、花がなる種のように拾っていく心、最初は引きつつもだんだん感化されていく小泉くん。
書店が本を売るためにPOPの工夫をしてくれたり、実は誰よりも近くにいた部長が、書店担当者の特徴を何十年もメモに記していたり、編集者は作家さんと幾度も打ち合わせを重ねていたり、今まで気づかなかった人々の「小さな仕事」に気づいていくようになります。

編集部の新人がずばずばと提案する姿と、それに負けじと乗っかっていく小泉くん、伸びていく売り上げ。今まで興味すらなかった上司の「忍法帖」(上記のメモ帳)を見せてくださいと直談判するくらい、営業の仕事にのめりこみ、今までないがしろにしていた「小さな仕事」を重ねて、重版出来を達成させます。
「がんばれって言葉きらいなんですよ」と言っていた彼が、「これが僕の仕事だ」と誇りをもつようになります。

仕事って、本当はこうあるべきなんだなぁと思えます。

 

 

愛のある仕事がしたい

小泉くんは、結局は外見の形ばかり気にしていたのかなと思います。

「雑誌の編集」というわかりやすくクリエイティブな仕事を希望しているけど、具体的にやりたいことは伴っていない。書店に形だけ頭を下げて、言われた通りに書類を作って、はい僕の仕事終わり。

 

でも、結局は行動一つ一つに具体性や理由、ビジョンがなければ、望む結果はでません。

上司のメモ取り、「この本が本当に売れるのはどの店だろう」という思考、書店への手書きの手紙、という表に出ない小さな種まきが、ぐっぐっと売り上げに近づけていくわけです。

 

この種は、愛がなければ、どうしても怠ってしまう仕事ばかりです。

そう、愛です。作品や読者や自分の仕事に対する「愛」。

 

重版出来!』の営業部長(生瀬さん)も、言ってました。「俺たちは本を売っているが、相手は人だ」と。 

これに気づいて、結構ハッとしました。

わたしもかなーり、表面的なところにこだわっていたな、と……

悪い癖です。記事を書いたら「はい、おわり」と締めくくる。学生のころはそんなスタンスだった気がします。

 

でも、それって本当に相手に失礼だなと思います。

取材対象者には、取材するわたしにも計り知れない大きな情熱や実現したい未来があって、人生かけて仕事をしている。常に沸騰していて湯気が出ているような人たちです。

そういう熱い芯に、たやすく触れてはいけない。ただの記事掲載の道具にしちゃいけない。

絶対に、敬意を忘れちゃいけない。愛を持って取材・執筆しないといけない。

 

でも、わたしに「愛」のある行動は足りないと思います。

じゃあ小さなことから始めていけばいいじゃない、と思いついたのが、ハガキです。

最初は職場共用のハガキを使っていたけど、早速自分用のものもデザインしました。

これからはどんなことをしていこう。もっと愛と心を大切にする仕事をしていきます。